第2話「秘密のアルバム」

これは、私が直接関わった話ではないのですが、一緒に仕事をしたカメラマンから聞いたお話です。国内リゾート婚をされたDさん夫妻の式で、新郎の友人(女性)から声をかけられたそうです。

その時は式の話や写真の撮り方のアドバイスなど、たわいな話をしたそうです。仕事中ということもあって、あまり長話しはできなかったのですが、女性が今度お願いすることがあるので、名刺を頂けないかと言われたそうです。

彼はもしかすると仕事が舞い込んでくるんじゃないかと軽い気持ちで名刺を渡しました。

それ以降、式が終わるまで彼女とは話すどころか会うこともありませんでした。


数日後、Dさん夫妻の式での写真をアルバムにするため事務所で作業をしていると、式で話した彼女から電話があったそうです。その内容とは、Dさん夫妻のアルバムに自分が撮った写真も載せてくれないかということでした。

式を挙げられた方からはよくある話なのですが、友人からそういう話は初めてだったので、慎重に話しを聞いてみると、記念になるようなアルバムを作りたいので、友人が撮った写真も入れてほしいとDさん夫妻に言われたそうです。了承済みならということで、写真のデータを送っていただくことになりました。


後日、カメラマンの元に一枚のCDが彼女から届きました。早速、中を確認した彼はその写真を見て少し違和感を感じたそうです。

CDの中に何個かのフォルダー。その中には、何百枚という数の写真データ。最初の方はこの間の結婚式の写真なのですが、その後はプライベートの写真がぎっしり。しかも驚いたことにその彼女と新郎のツーショットばかりなのです。

疑問に思ったカメラマンは、データと一緒に入っていた手紙を見てさらに驚いたそうです。

それは、事細かく何番の写真は新郎のそばにいれてくれとか、新婦を外して何番の写真を使ってという内容でした。

やはりおかしい。そう思ったカメラマンはDさん夫妻に連絡をとり、このことを新郎に告げたそうです。すると、電話の向こうの新郎の声が急に震えだし、すぐにデータをもって来てほしいと言われたそうです。時間も遅かったのですが、新郎の様子が変だったのが気になって、すぐにDさん夫妻のもとに向かいました。


到着してすぐにデータを渡して帰ろうとしたのですが、一緒に見てほしいと言われたので、渋々一緒に見ることに。やはり結婚式の写真以外に数百枚のプライベート写真。しかもおかしいのが、なにやら遠目で撮っている写真があるのです。それは結婚式の写真もそうでした。カメラマンが最初に感じた違和感はこのことだったのです。


写真を見終わると新郎の口からある事実を告げられました。

それは、カメラマンに依頼した彼女は・・・・新郎のストーカーだったのです。

一緒にいた新婦もそれは知っていたそうなのですが、結婚すれば諦めてくれるのではと思っていたそうです。もともと新郎の会社の同僚だったそうなのですが、ストーカー行為が酷いため、上司に相談し、彼女と話し合った結果会社を辞めていったそうです。その後もストーカー行為は続いたのですが、結婚が決まると彼女も近寄らなくなったそうです。少し安心した矢先にこの事件でした。

実は結婚式にも呼んでいないらしく、勝手に忍び込んで写真を撮っていたそうです。お二人は友人からアイツ来てたよと知らさていたのでもしやと思い、写真データを確認したそうです。


その後、データはDさん夫妻に引きとってもらい、アルバムは無事にDさん夫妻お望み通りの仕上がりになり喜んで頂きました。

ホッとしたのですが、あの女性からの電話やメールは続いたそうです。事情を話しても「なぜ、できないんだ」「いくら払えばするんだ」と口調もひどくなり、「なぜ、私だけのアルバムを作らないんだ!!!」と暴言まで吐かれたそうです。仕方なくカメラマンは事務所の電話番号とメールアドレスを変え、何もないようにと願いながら毎日を過ごしたそうです。


みなさんも、そしてカメラマンのみなさんも怪しい女性にはお気をつけ下さいませ。

プランナーの本当にあった結婚式の怖い&面白い話

幸せなお二人を間近で感じられるウェディングプランナーをはじめて早数年。 私が体験したリアルな出来事を少しづつ紹介していきます。 ドキドキする怖い話や心に残るいい話、鉄板の面白い話など、結婚をお考えのお二人の参考にしてください。