ちょっといい話05「ビデオレター(前編)」
国内のリゾートで結婚式を挙げられたAさん夫妻の話。
そこはご両親の思い出の地ということで、新婦が強く希望されていました。
打合せをしていく内に、新婦さんがそこで結婚式を挙げたいのかが分かってきました。
新婦は、お父様と2人きりのご家族。お母様は新婦が小さい頃に病気でお亡くなりになり、それ以降、お父様が再婚もせず、男手一つで育てられたそうです。
そんなご両親の思い出の地で結婚式を挙げたい!お父さんをその場所に連れて行きたい!と思っていたそうです。
何度かその場所にプライベートで行こうとしたらしいのですが、お父様がなかなか行きたがらず、新婦も無理矢理連れて行くわけにもいかず、結婚式なら絶対連れてこれるだろうと考え、新郎と2人で決めたそうです。
協力的な新郎、実は新婦のお父様の部下。以前、お父様が「おまえ誰とも付き合っていないなら、うちの娘はどうだ!一度会って見ろ。」とその日に家に連れていかれたそうです。父親のように慕っている上司の言葉を断るわけにはと言う気持ちでお邪魔したらしいのですが、新婦に会って一目惚れしたそうです。
それからお父様公認のお付き合いが始まり、今日に至ったということでした。あとから、新婦さんに聞いた話によると、もともとは新婦がお父様の会社に忘れ物を届けに行ったときに新郎をはじめて見て一目惚れされたそうです。その話を聞いたお父様が「あいつはいいやつだ!よし、俺がここに連れてこよう!」ということで、話がどんどん進んでいったそうです。
結婚式の前日、お父様のところに2人が挨拶にきました。そこでお父様はあるビデオを何本か用意していたそうです。
それは、亡くなられたお母様が写っているビデオテープ。新婦の誕生日やお遊戯会、運動会などお母様が生前元気にされていた時のビデオを3人で見たそうです。新婦も以前何度か見たことがあったのですが、それを見るとお父様が悲しい顔になるので、徐々に見なくなったそうです。
ビデオが終わると「最後ぐらい俺と母さんと娘と○○、4人でいたかった」とお父様が最後に言われたそうです。
それを聞いた新郎、ボロボロ涙を流してお父様に「おい○○!まだ早い!」って突っ込まれたそうです。そして、「娘をよろしく。」と。
そして最後に一つの封筒を渡され、中には一本のビデオテープ。そこには「○○ちゃんの結婚式♡」と書かれてあり、新婦がお父様に聞くと、お母様が生きているときに娘宛に撮ったビデオレターということでした。
添えられた手紙には、「○○ちゃんの結婚式に流してね♡」と書かれてあり、お父様もその日初めて封筒を開けたそうです。その日はもう時間も遅いので、とりあえず結婚式で流そうということに。
0コメント