ちょっといい話05「ビデオレター（後編）」

結婚式当日、式、披露宴も無事に進行していき、始まる前に新婦からお願いされたビデオレター流す時間に。

司会の方が今から流すビデオは生前元気にされていた新婦のお母様のビデオレターということ、新婦とお父様もまだ見たことがないことなどを説明し、ビデオレターの上映が開始されました。（うろ覚えですが、内容を簡単に書きます）

「ヤッホー！○○ちゃん元気〜！結婚おめでとう！！！」

と、凄いテンションでクラッカーを鳴らしながら、新婦によく似た若い女性が映し出されました。

「○○ちゃんはきっと、美人でスタイルがよく素敵な女性になっているんでしょうね・・・私みたいに」

「あ、でも私の方が綺麗なんだから〜〜〜ねぇ、○○くん（新婦のお父様）」

「○○ちゃんはどんな人と結婚したんだろう？何歳で結婚したのかな？」

冗談交じりのビデオレターは、悲しい雰囲気になることはなく、会場を笑顔にしてくれていました。

そんなビデオレターもそろそろ終わりかなと思ったとき・・・・

「あと・・最後に、○○くん（新婦のお父様）元気かな？私がいないと寂しいでしょう（笑）」

など、少し照れながら、お父様にメッセージを残されていました。

「○○くん、今日まで○○ちゃんを立派な女性に育ててくれて、そして、素敵なお嫁さんに出してくれてありがとう」

「さすが私が選んだ○○くん。いつまでも○○くんのこと・・・・愛しているよ」

「もしかすると、髪の毛がないかもしれない。もしかすると太っているかも。でも、私はそんな○○くんのこと、いつまでも愛してます。ずっと、ずっと・・・・愛しています」

そういうと、女性は軽く手を振り、カメラに手を伸ばし、そこでビデオが終わりました。

会場は一瞬静まりかえると、その後新郎新婦そしてお父様に向けて、鳴り止まない拍手が起こりました。

みなさんの目には涙が。新婦もお父様の元に駆け寄り、お二人抱きしめて号泣。それを見て、さらにみなさん、そして私も大粒の涙。久しぶりに、とても幸せで、優しい涙を流しました。

最後はお父様、新郎新婦と会場のゲストに向かって、

「先ほど、妻から愛してると言われました。彼女が生きている間に私は何度、彼女に愛してるといったでしょうか。本日、結婚した娘。そして○○くん。それにここにお集まりのゲストの皆さん。いつでもそばに愛する方がおられるなら、今からでも愛してるという言葉を伝えましょう！」

そしてマイクは離されて・・・・

「○○〜（新婦のお母様）、いつまでも愛してるぞ〜」

新婦とお父様の幸せそうなお顔と鳴り止まない拍手が印象的で、この結婚式ほど多くの涙をみた結婚式はありません。

とても素敵で、とても優しい結婚式でした。