面白い話06「トイレ」

国内リゾートで結婚式をあげられたプレ花嫁のMさんのお話。


結婚式の進行や演出など、打合せに来られたときにはもう決められていて、テキパキと何でもこなす、いわゆる「イケメン女子」。自分の好みやゲストの方の情報(アレルギーのある方のための料理選び)など、を前もって調べてあり、プランナーの私としては「お見事!」の一言でした。


新郎がお忙しいとのことでお母様とよく打合せにこられて、娘さんをフォローされてありました。ものすごく美人でおしとやかでなお母様で、この方が結婚されるのと勘違いされるほどお若く、スタッフ一同ビックリでした。

ふと、時間が空いた時にお母様とお話させて頂いたのですが、何やらお父様が結婚式に反対?というか娘さんを嫁に出したくないといってらっしゃるようなのです。

お母様は、「まぁ〜反対してるわけじゃないし、新郎の○○くんも気に入ってるし、ただ寂しいだけよ」と仰っていたのですが、一抹の不安が頭を過ぎってしまいました。


式の日が近づくと同時に、これだけ話がすすんでいるのだから、お父様も落ち着かれただろうと私の頭からそのことは忘れていました。


当日、天候に恵まれまさにリゾート日和!

式はというと・・・・実はバージンロードで一悶着?

大げさなことではないのですが、新婦のお父様が歩きたくないとブツブツ仰っていました。

お母様が説得して、なんとか式は順調に終わったのですが・・・・


披露宴が始まってから、新婦のお父様がトイレに何度も何度もいってしまい、新郎の上司や新婦の上司のスピーチの時に新婦父不在。友人知人がお祝いの言葉を言いに来ても新婦父不在・・・・戻ってきたと思ったらまたトイレへ。


そうしている内に新郎新婦からお父様、お母様への花束贈呈・・・しかし、新婦父不在。

新婦のお母様もとうとう堪忍袋の緒が切れて、マイクでゲストに一言。


「新郎のご両親様ならびにゲストの皆様。申し訳ありませんが少々お待ち下さい・・・・引きずって参ります」


と、一礼すると着物をまくし上げて、男子トイレへ駆け出されました。

私もスタッフ数名と一緒に男子トイレへ。すると、奥から声が・・・・・


「やっぱり、嫁に出したくない〜〜!嫁にやるのは嫌だー!」


とうとう、新婦父、トイレの中で籠城です。本当に嫌なのでしょう。この土壇場でまさかの立てこもりです。すると、トイレの前におられた新婦のお母様。私に笑顔で「ゴメンね」と言ったあと、ドアの向こうの新婦父に


「○○ー(新婦父の名前)!こんな時までなにやってだい!男だろー!」


その勢いに私もスタッフも目が点。ものすごく美人でおしとやかなイメージのお母様だったので・・・この衝撃はその場にいたものしかわからないでしょう。

するとドアが開き、目を真っ赤にした新婦父が出てきて、「でも・・・・」「しかし・・・」と言っていたのですが、


「○○くん。今日笑顔で送り出さないと、いつか絶対後悔するよ。私も側にいるからがんばろう」


と、お母様が子供に言うように説得していました。新婦父も納得したのか、そのまま式場に戻り、無事花束贈呈〜ご挨拶まで・・・・頑張られていました。

最後に娘さん、新婦父のそばにいって「お父さん、いままでありがとう」って新婦父をギュッとハグしていました。それでまた、大号泣。


でも新婦父、娘さんを愛されているんですね。新郎の方にいき「娘を幸せにしてやってください」と頭を深々下げてありました。側にいた新婦母も「がんばったね、○○くん。」と新婦父の頭を撫でていました。(どう見ても母と子ですよ。笑ったちゃだめですけど。)


しかし、いろいろあった結婚式でしたが、色んな方に祝福された笑顔の結婚式でした。

プランナーの本当にあった結婚式の怖い&面白い話

幸せなお二人を間近で感じられるウェディングプランナーをはじめて早数年。 私が体験したリアルな出来事を少しづつ紹介していきます。 ドキドキする怖い話や心に残るいい話、鉄板の面白い話など、結婚をお考えのお二人の参考にしてください。